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機関紙「ジャーナリスト」08年11月号から「リレー時評」。
航空幕僚長の猛烈な妄言 自衛隊は旧軍の道をたどるのか 右傾化に便乗、隊員意識は様変わり 柴田 鉄治(JCJ)代表委員 未来を予測するにも、これから進むべき道を決めるにも、過去に学ぶ以外に方法はない。人間が他の動物より優れたところがあるとすれば、それは、歴史に学ぶことができるということだろう。 第二次世界大戦に対する日本の反省の足りなさを指摘する声が絶えないわけだが、反省どころか「日本人の歴史観はいったいどうなっているのか」と思わせる新たな「事件」が起こった。自衛隊の航空幕僚長の懸賞論文事件である。 あの戦争をどう見るかについて、日本人の歴史観が大きく二分していることは、これまでにもさまざまな形で現れていた。反省史観と無反省史観との対立というか、あるいは、自虐史観と自己肯定史観との対立というか、その呼び方によっても価値観が含まれるので、なかなか難しい。あえて中立的に言おうとすれば、「反省すべし史観」対「自虐的になるな史観」の対立とでも呼ぶほかあるまい。 二極分化といっても、世論調査をすれば「反省すべし史観」がいまなお国民の多数派であることはいうまでもないが、戦後、年月とともに「自虐的になるな史観」の声が大きくなってきたため、いまや「国論二分」のような形になってきた。 メディアの論調でいえば、「朝日・毎日新聞」対「読売・産経新聞」の対立である。 したがって、今回の航空幕僚長の論文も「あまり自虐的になるな。欧米諸国だって過去の侵略や植民地政策を反省していないではないか」という程度のものだったら、「ああ、またか」で済んでいたかもしれない。誰でも自国を弁護したくなる気持ちはあるのだから。 ところが、航空幕僚長の論文は、そんな生易しいものではなかった。論旨を要約すれば「日本は相手国の了承を得ずに軍を進めたことはない」「わが国は蒋介石により日中戦争に引きずり込まれた被害者なのだ」「日本はルーズベルトの罠にはまり真珠湾攻撃を決行したのだ」「多くのアジア諸国があの戦争を肯定的に評価している」「わが国が侵略国家だったというのはまさに濡れ衣である」というのである。 何もかも相手国が悪い、日本はまったく悪くないどころか被害者なのだ、侵略国家だったというのは濡れ衣だ、というのだから驚く。書いた方も書いた方だが、これを懸賞論文の最優秀賞に選んだ方も選んだ方である。これまでにも右翼的論客の過激な主張はいろいろとあったが、これほどまで一方的なものは、めったになかった。いったいこの人は、どうやって戦争の歴史を学んだのだろうか。戦後生まれの人だから、実際に体験した話ではなく、すべて学校や書物で学んだものだろう。これほど一方的な教科書や書物はないだろうから、おそらく講演や右翼雑誌などの都合のよい部分だけをつなぎ合わせて、自分なりの歴史観を構築したのだろう。 怖ろしいのは、このような歴史観の持ち主が、日本の軍事組織、自衛隊のトップにいることである。旧日本軍に侵略された国の人たちからみれば、すべて相手が悪いと過去をまったく反省していない人が率いる軍事組織なら、また同じことをやるかもしれないと考えるのではあるまいか。 自衛隊は、このような人がトップに昇進できるような組織なのか。自衛隊では戦史をどう教えているのか。満州事変も張作霖爆殺事件も日本の関東軍の謀略だったことは、旧軍関係者も認めていることなのである。 私が現役の記者だった40年前、朝日新聞で1年間にわたる長期連載「自衛隊」を取材したとき、隊員たちが何を考えているのか、その意識を徹底的に探ったことがある。当時はまだ旧軍経験者が大勢いた時代だったが、私の印象では、旧日本軍の「暴走」に厳しい批判の目を向ける「冷静な合理主義者」が多かったように思う。 自衛隊を見つめる国民の目も、いまとは比較にならないほど冷たかった時代だが、そのことに対しても、「寂しくないといえばウソになるが、軍隊がちやほやされる時代は決してよくないのだ」と、冷静に語る人が少なくなかったことに驚いた記憶がある。この40年間に、日本社会全体の右傾化に便乗して、自衛隊員の意識はとんでもない方向に様変わりしてしまったようである。 心配なのは、今回の事件で、日本人の歴史観はどうなっているのかという根源的な疑問が、中国や韓国だけでなく他のアジア諸国や欧米諸国にまで広がるのではないかということである。とくに東京裁判批判だけでなく、「ルーズベルト大統領の罠」説まで出てくれば、米国の対日本人観も変わってくるに違いない。 中国や韓国では、日本の要職にある人から「無反省史観」の言葉が飛び出すたびに、「またまた妄言」と報じられてきた。妄言で職を解かれた日本の閣僚や官僚だけでも、決して少ない数ではない。今回は「猛烈な妄言」であり、航空幕僚長は「猛将」といわれていた人だそうだから、「妄言から猛言へ」とでも報じられるかもしれない。 国会の参考人質疑でもこの人はまったく反省の姿勢を見せず、「自衛官にも言論の自由はあるはず」と開き直った。この人には、シビリアン・コントロールとは何か、を説いても無駄だろう。「かつての日本ほど、専門的、職業的精神に欠けた、政治的な軍隊を持った国はない」とは米国の学者の言葉だが、自衛隊はまたまた、かつての旧軍のたどった道を追おうとしているのだろうか。 この状況に対して、さすがの読売新聞も「『言論の自由』をはき違えるな」という社説を掲げた。今回の事件のなかで、これが唯一の「救い」だったように思う。
by ywatari4
| 2008-12-20 12:17
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