「ジャーナリスト」09年9月号から転載します。
「物件費」扱いの派遣社員
社員化・平等賃金もとめるTプロの宮崎幸二さん
口頭弁論始まる。
JCJ福岡支部会員の宮崎幸二さん(TNCプロジェクト=Tプロ派遣社員、45歳)がTプロと派遣先のテレビ西日本(TNC)を相手取り起こした、「社員化(正規社員と同じ雇用契約上の地位確認)、賃金差額分(4200万円)の損害賠償請求」訴訟の第1回口頭弁論が9月2日、福岡地裁(岩木宰=おさむ=裁判長)で開かれた。支援傍聴には、民放労連本部や九州民放OB会、JCJ福岡支部会員、地域の争議団の仲間ら74人が駆けつけ、法廷に入りきれない人30人以上が廊下にあふれた。
この日は宮崎さんと原告訴訟代理人の井下顕弁護士の2人が意見を述べた。このなかで宮崎さんは「同一労働同一賃金」を実行するよう求めたうえで、「私たち派遣労働者は人間として扱われていない…私が働いているTNCに於いては、私に支払われる賃金は部局の物件費として処理されている…人件費ではなく物件費です。紙や鉛筆などの消耗品と同じで、その購入には消費税が支払われている…これこそが派遣法の下で派遣労働者がどんな扱いを受けているかを如実に物語っているものであります」と衝撃的な事実を明らかにした。
これより先、井下弁護士は、労働者派遣法に関して、宮崎さんの業務が差別的な労働条件の下で従事させられていることを明らかにした後、「行政に訴えたが当てにならないので、最後の砦(とりで)としての司法機関に判断を求めるはかない。差別を受けることが人間にとって、もっとも辛く、人間の尊厳を奪うものであることに目を向けてほしい」旨の訴えをした。
閉廷後に報告集会が開かれ、支援傍聴した「読売押し紙」「国労」「明治乳業」などの訴訟団から、激励と連帯の発言が相次いだ。次回は10月14日(水)午後2時から。(福岡支部)