「ジャーナリスト」2010年4月号から転載します。
普天間の真実に迫る
三上智恵さんの緊急報告集会に140人
「政局報道の具にするな」
4月9日、沖縄県民の国会前抗議行動を支援していた人も駆けつけた緊急報告集会は会場の岩波セミナールーム(神保町)があふれる141名参加の盛況。集会タイトル「東京のテレビが伝えない 普天間問題の真実」を知ろうとする思いが強いことが示された。
報告したのは琉球朝日放送のニュースキャスターでディレクターの三上智恵だ。三上氏が制作した番組「狙われた海」を見た後、報告に移った。三上氏は軍用地借り上げの有無で経済格差の生じる辺野古の複雑な現地事情や、大規模集会開催実現に留まり、その先に行かない沖縄の運動の弱点などを率直に語った。
三上氏が2000年代前半の海上ヘリ基地反対運動高揚期を取材した「海にすわる~辺野古600日の記録」は数々の賞を得た。しかし、基地建設反対派だけ取材することには、「賛成派も取材すべき」という意見があるという。三上氏は、「賛成しているのは果たして誰か。政治家や官僚はその時の立場で発言しているだけ。地元の首長や県知事は賛成派ではなく先に諦めた人。本当の賛成派は日本の安全保障には基地が必要だと漠然と思い、基地建設を推進する政治家に投票する多数の日本国民でないのか」と問題提起する。
辺野古の北に位置し、沖縄には珍しく水深がある大浦湾は1960年代半ばに米軍が軍港建設を計画していた。その時、住民は反対に立ち上がり計画を撤回させた、「普天間基地代替」と呼ばれる計画は、実は「新基地建設」で、昨年秋10月放送の「狙われた海」では、過去に基地建設を拒否した住民が、基地建設に協力せざるを得ない苦悩を描いている。
三上氏は全国紙やキー局の報道姿勢を、沖縄の現実とは無縁なところで「普天間問題」を、民主党政権が迷走しているなど政局報道の具にしている、と痛烈に批判する。
4月25日には、沖縄で県民大会が開かれる。琉球朝日放送は1時間半の生中継をするという。
(機関紙部)