9月30日に文京区民センターで開かれたMIC、JCJ、マスコミ関連九条、自由法曹団、4団体主催の学習会「福島原発事故から考える ~国家と犠牲」に参加しました。
まず自由法曹団・東日本大震災対策本部事務局長の久保木亮介弁護士が特別報告。
久保木弁護士は、相談を受けた事例をきっかけに、原発事故で避難した被災者に東京電力が示した書類の問題点を指摘しました。
東電が被災者に送付した書類の中に、「合意書」というものがあり、そこには、いったん合意したら追加請求ができないと記されていた。その記述は、世論の批判をあびて撤回されたそうです。
久保木弁護士は、自由法曹団が取り組んできたことと、これからの課題についても語りました。
久保木弁護士の報告で印象に残った点は次の点です。
原発事故は交通事故のように加害者、被害者の立場が入れ替わる可能性があるものではなく、公害と同じく加害者と被害者は明確に分かれているということです。
車社会の利益は社会全体が受け、一報で交通事故の危険性も広く分け持たれているわけですが、今回の原発事故では、原発から直接に利益を受けず、原発に反対していた人も避難生活を強いられました。
東電は補償といっても、賠償とは言わないそうです。
東京電力と原発推進政策を進めてきた政府は、原発被災者に正当な賠償をするべきだと思います。
次に、高橋哲哉東大教授が講演しました。
高橋氏は、原発事故には虚を衝かれたと語りました。
「靖国問題」を契機に、「犠牲のシステム」について考えてきた高橋氏は、原発事故での犠牲について整理して語りました。
「犠牲のシステム」というのは、ある集団の利益が他の人々の犠牲によって生み出され、その犠牲は隠されるか美化されるようなシステムだそうです。
高橋氏は、原発災害の犠牲を、直接に避難しなければならなかった地域、避難地域には指定されなかったものの、その周辺で放射線量の高い地域という区分と、原発労働、ウラン採掘地域、廃棄物処理などによる被曝など、核燃料と原発に関わる労働者の健康被害による犠牲を整理して指摘しました。