憲法記念日がやってきます。
自民党の改憲草案に改めて注目したいところ。
自民党改憲草案
日本国憲法と対照されているので、特質が見やすいと思います。
2016年の憲法記念日
自民党改憲案が表舞台に
毎年5月3日になると、改憲と護憲双方の集会が都内で開かれる。TVニュースは両論併記のように、それぞれの集会を並べて扱うのが通例だ。今年の憲法記念日の報道がまた季節ネタのようになるのかはわからないが、今年はこれまでの憲法記念日とは、情勢が全く異なっている。
一つには昨年の安保法案反対運動の高揚だ。これまで以上に若者や高齢者や子育て中の女性など、幅広い層が街頭行動に参加した。「九条壊すな」「戦争させない」のプラカードが国会前を埋めた。
また一つには安倍内閣の改憲へのこれまでにない熱意がある。安倍首相は3月1日の衆院予算委員会で「自民党は憲法改正案を提示している」と、自民党憲法草案を議論の正面に出してきた。
改憲(自主憲法制定)を党是としてきた自民党が明文の改憲草案を起草・公表したのは2012年4月。自民党が野党時代だ。
発表当時からその危うさを指摘する法律家などはいたが、市民運動の中ではその欠陥や奇矯さが十分に知られているとは言えない。
削除でわかる現憲法との性格の差
自民党改憲草案は全102条と附則からなる。 戦争への反省にたち、民主主義を人類普遍の原理とする現行憲法前文も、全面的に書き換えられている。発表された草案は現憲法と対照されていて、新設された条文、削除された条文を見れば、二つの憲法の性格の違いが歴然とする。
新設された条文では、国旗を「日の丸」国歌を「君が代」と明記し、尊重義務を国民に課している。元号の制定も憲法に加えられている。
第二章は章名を「安全保障」と書き換えた上で、「国防軍」という項目を新設。さらに国防軍は「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動公の秩序の維持、国民の生命及び自由を守るための活動」も可能とし、海外派遣も治安出動もできるようになる。
条文の削除では第九十七条「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在および将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」が象徴的だろう。
今年の憲法記念日は、この「侵すことのできない永久の権利」が遠くない未来に侵犯されようとする情勢の中で巡ってくる。