4月30日、日本経済新聞の「富田メモ研究委員会」の最終報告が発表された機会に、昨年の機関紙記事を紹介します。
昨年7月の日経スクープ、いわゆる「富田メモ」報道。
機関紙「ジャーナリスト」では8月号で3つの記事を掲載しました。
1面 ・・・“憲法と天皇”めぐる認識」に危うさ 藤森研氏(朝日新聞社会部)
3面 ・・・勢いづく分祀論 靖国国営化招く恐れも (談) 高橋哲哉氏(東京大学教授)
「天皇の心」解釈に異論 白垣詔男(JCJ福岡支部)
7面 ・・・〔月間マスコミ評・週刊誌〕 「英霊顕彰」神社こそが問題 鶴見友郎(ジャーナリスト)
藤森氏は新聞各紙の論調で4つの問題点を指摘しています。
第1は昭和天皇の戦争責任を等閑に付している。第2は、「天皇がそう言うのだから小泉首相は参拝すべきではない」というトーン。第3は、「75年までの参拝は違憲ではなかったのか?」という問題意識のなさ。第4は、憲法20条(政教分離)との関係。靖国神社の歴史的問題性への関心が弱いこと。
高橋哲哉氏の論考は編集部聞き書き、著者校閲による記事です。高橋氏は、今までは首相の靖国参拝に焦点があたっていたのが、天皇の靖国参拝が顕在化してきた点に注意を喚起しています。高橋氏は、もともと敗戦前にはA級戦犯は靖国神社に祀られていないと指摘し、「A級戦犯が分祀され国有化されれば、靖国神社は元の姿に戻ることになる」といいます。中国・韓国からの批判という外交問題は解決されても、靖国問題は解決されない―と高橋さんは指摘します。
白垣氏は、小泉首相靖国神社参拝違憲訴訟九州・山口弁護団長の郡島恒昭JCJ福岡支部前支部長は、昭和天皇は靖国神社の松平宮司が独断で合祀して、相談がなかった点を越権行為として怒ったのではないか、と語っていることを紹介しています。
鶴見氏は、日経スクープ後の、「産経新聞」「諸君!」「正論」の、「日経誤報説」を紹介・批判しています。占部侍従の日記も明らかになった現在、これらのメディアがどういう論を展開するのか、興味がもたれます。
「…そもそも靖国問題は。こういう「英霊顕彰」の神社が存在することの問題であり、憲法の政教分離原則を無視して参拝にいく首相の問題であり、侵略性を否定する神社の歴史観の問題であって、A級戦犯を分祀すればそれで片づくようなものではない」 と鶴見氏は論じています。
この8月号を見本紙としてご覧になりたい方は、JCJまたはこのエントリーの非公開コメントでご連絡ください。少しは残部があると思います。