テレビから大滝秀治さんの声で「困ったもんだが、しょうがない」という声が聞こえてきました。
“やずや”のCMですね。
原爆投下は「しょうがない」という久間氏の発言が問題になった折、CD9枚組の労作、〈録音構成〉『ヒロシマ ナガサキ 私たちは忘れない』で昨年のJCJ賞を受賞した伊藤明彦さんの、授賞式でのスピーチをご紹介します。被爆者の声を集めたCDです。
出典
JCJ賞のページ 機関紙「ジャーナリスト」06年9月号
「日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞」「黒田清・JCJ新人賞」贈賞式 から
英語に訳して発信 「道」に意思のせる……伊藤明彦さん
被爆者が被爆体験を語る、そんな風変わりなCDがジャーナリズムとして認められたことをうれしく思います。言いたいことは一つ、「聞いていただきたい」ということです。
これからやりたいことを言います。すべてを英語に訳して、英語がわかる人に発信したい。すでにボランティアが名乗りをあげてくれています。
もう一つ。今度はビデオで3年ほどかけて映像・音声化し、それをインターネットで流したい。それを核保有国、特にアメリカの青年に見てもらいたい。
アメリカに代表される核保有国で、核兵器の製造・維持の〝跡継ぎ〟を減らしていく努力をしたい。 被爆者はどんどん亡くなっていきます。核兵器製造者もなくしていきたい。物理学の核兵器分野の人気がなくなるようになれば、核兵器もなくなっていくのではないか。
私が被爆者の声を録音し始めたのは、38年前の1968年です。録音というプリミティブ(原始的)な作業が、CDやインターネットでよみがえります。
中学のとき「意思あるところに道あり」という英文を習いました。逆に考えてみましょう。すでにCDやインターネットという「道」はあります。それに乗せて核兵器廃絶という「意思」を伝えていきたい。
情報の力でさしあたり、核兵器をおしとどめたい。ゆくゆくは戦争をなくしたい。
そのためにも民主主義と「自由な言論」が不可欠だ、という思いを新たにしています。
(小寺松雄)
受賞者 制作者 伊藤明彦(いとう あきひこ)
受賞理由 制作者は長崎放送記者だった1968年、ラジオ番組「被爆を語る」を手がけて以来、広島・長崎および各地に散在する千人を超す被爆者の声を収録した。その中から被爆後1カ月の生々しい体験381話を時系列で再構成し、CDで全国の図書館などへ寄贈、かつインターネットで公開している。被爆体験の継承・普及に半生をかけた活動といえる。
CDの内容はここで聞くことができます。
追記
このCDの英訳ボランティアを募集しているそうです。