14日の土曜日にレイアウト作業なので時間がとりにくい。コンテンツの出し惜しみで、申し訳ありませんが、 「ジャーナリスト」06年4月号「リレー時評」から北村肇氏(「週刊金曜日」編集長)の「新聞が重要な事柄を書かない理由」を分けて掲載します。
「ジャーナリスト」06年4月号から。
リレー時評
新聞が重要な事柄を書かない理由
北村肇(「週刊金曜日」編集長)
「いい加減にしろよ」。思わずパソコンに向かって叫んでいた。
深夜、ネットでその日のニュースをチェックしていて、「王ジャパンが野球世界一に輝いた」という号外が配布されたことを知った。たかが野球。しかもこの大会(正式名称も覚えていない)は、米国による米国のためのイベントで、そもそもメディアの批判対象でしかないはずだ。それが、なんと号外!
全国紙はスポーツ記事を書くなとか、小さく報じろと言うつもりはない。しかし、だ。
新聞がネット時代を生き抜くためにはどうしたらいいのか。利点を全面に押し出すしかない。その最大のポイントは「価値付け」である。
今日の主なニュースはこれこれ。重要度の高い順に並べるとこれこれ。この「価値付け」こそ、プロのジャーナリスト集団にしかできない”技”であり、これがきちんとできてさえいれば、新聞が息絶えることはない。
各社に聞きたい。たとえば共謀罪と世界野球のどちらにニュース価値があるのか。入管法改悪とはどうか、憲法問題とはどうか。
なにごともなく平和な時代なら、まあいいかもしれない。しかしいまは、保守革命によって、この国が根本的に変革させられようとしている、歴史的な分岐点だ。全国紙がスポーツ報道にうつつを抜かしている状況ではない。