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烏賀陽弘道氏のケースのように、個人のライターに訴訟を仕掛けて言論活動を妨げるケースが増えています。このブログでも再三取り上げている、新聞販売の実態を取材・報道しているフリーライターの黒藪哲哉氏も、訴えられています。
黒藪氏の報告です。表題はブログ編集部でつけました。 業務上の文書に著作権? 訂正ももとめず「名誉毀損裁判」? 読売関係者は言論を妨害したいのか わたしが被告となった2つの訴訟のうち、4月14日に東京地裁で最初の裁判が始まった。この訴訟は、2月に読売新聞・西部本社の江崎徹志法務室長がわたしに対して提起した著作権裁判である。わたしが主宰するサイト「新聞販売黒書」から、読売関連のある記述を削除するように求めたものだ。 ふたつめの訴訟もやはり江崎氏ら読売の関係者が3月に起こしたもので、5月9日に最初の口頭弁論が開かれる予定になっている。これは名誉毀損裁判で、わたしに対して2230万円の支払いを請求してきたものである。「新聞販売黒書」の記述で名誉を傷つけられたというのだ。 巨大メディアが、ひとりのフリーライターに対して、立て続けに裁判攻勢をかけてきたケースはめずらしい。武富士など一般の企業がフリーライターに高額訴訟をしかけたケースはあるが、大メディアによるこの種の攻撃は初めてかも知れない。出版関係者は、通常、裁判以前に言論による論争を最重視するからだ。その背景にどのような事情があるのだろうか。訴訟の中味を交えながら、手短に解説してみたい。 ■著作権裁判の概略 発端は2002年ごろまでさかのぼる。舞台は、福岡県の久留米市を中心とする筑後地区。この地域に元暴力団の関係者で、その後、YC(読売新聞販売店)の経営に乗り出したM兄弟がいた。兄のM氏はYCの経営以外にも、折込チラシの代理店や新聞セールスチームを経営するなど幅広く新聞ビジネスを展開してきた。M氏は次々と筑後地区にあるYCの経営権を手に入れていった。 その手口は強引で、読売新聞社の援助をバックに、ターゲットにしたYCに有形無形の圧力をかけて、経営権を奪い取るというものだった。 しかし、すべてのYC経営者がこのような圧力に屈してしまったわけではなかった。YC広川の真村久三所長ら3人の所長は、読売からYCの廃業を突きつけられたが、屈することなく地位保全の裁判に持ち込んだ。そして2006年の9月に福岡地裁で勝訴した。さらに07年の6月には、福岡高裁でも勝訴した。司法は読売の販売政策を、優越的地位の濫用として厳しく断罪したのである。読売は最高裁へ上告したが、受理されなかった。 裁判の期間中、読売は真村さんを「飼い殺し」の状態においた。訪店も中止した。ところが、司法の場で自分たちの敗戦色が濃厚になってくると、「飼い殺し」の状態を解除せざるを得なくなった。そこで訪店の再開を真村さんに通知した。ところが真村さんは、読売への不信感があるので、訪店の申し入れをそのまま受け入れることができない。そこで代理人である江上武幸弁護士が、読売に書面で真意を問い合わせたのだ。 これに対して読売の江崎法務室長は回答書を送付した。この文書が後に著作権をめぐるわたしと江崎氏の係争に発展したのである。次に示すのが、その回答書である。全文を引用してみよう。 前略 読売新聞西部本社法務室長の江崎徹志です。 2007年(平成19年)12月17日付け内容証明郵便の件で、訪店について回答いたします。 当社販売局として、通常の訪店です。 以上、ご連絡申し上げます。よろしくお願いいたします。 わたしは新聞販売黒書で読売がYC広川に対する訪店を再開するというニュースを伝えた。記事の裏付けとして、上記の文書も引用した。 ところが江崎氏は、この回答書を新聞販売黒書から削除するように求めて催告書を送ってきたのである。その理由とて、回答書は江崎氏の著作物であるから、わたしには公表権がないというものだった。 しかし、著作権法で言う著作物とは、単なる文章というだけでは十分ではない。文章=著作物ではない。一定の条件を満たすことが求められる。その条件とは、著作権法の2条1項に明記されている。 「思想又は感情を創造的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」 江崎氏の回答書をさまざまな角度から分析してみたが、これは単なる意思の伝達を目的とした業務上の通知であって、「思想」や「感情」の表現ではない。まして文芸作品であるはずがない。詭弁を重ねて、たとえ著作物と判断したとしても、報道目的がある場合は著作権法の41条により、それを公表することが容認されている。41条は次のように述べる。 「写真、映画、放送その他の方法によって時事の事件を報道する場合には、当該事件を構成し、又は当該事件の過程において見られ、若しくは聞かれる著作物は、報道目的上正当な範囲内において、複製し、当該事件の報道に伴って利用することができる」 わたしは削除を断り、今度は催告書を新聞販売黒書で紹介した。 すると江崎氏は、その催告書を削除するように東京地裁に仮処分を求めてきたのである。催告書は自分の著作物であるから、わたしには公表権がないというのが、江崎氏の主張だった。再び文章=著作物という解釈を持ちだしてきたのである。 しかし、不思議なことに、問題の糸口になった回答書については、係争の対象にはしてこなかった。 ちなみにわたしは催告書を熟読してみたが、どこにも「思想又は感情」の客観的な表現は見当たらなかった。そのためにわたしは江崎氏がどのような感情を抱いてこの催告書を書いたのか正確には読み取れなかった。文書を削除してほしいという気持ちよりも、むしろわたしがどう反応するかを観察したいという気持ちを抱いていたのではないかと疑ったが、やはり真意は分からなかった。繰り返しになるが、「思想又は感情」の客観的な表現がないからだ。 東京地裁はわたしに対して、催告書を削除するように仮処分を出した。ところが判決文には、判決理由がなにも書かれていない。当然、納得できず、わたしは江上弁護士らに相談して、本裁判を選ぶことにしたのである。具体的には、東京地裁を通じて、読売に起訴命令を出してもらった。 ■名誉毀損裁判 この裁判の背景も、真村さんらが提起した地位保全裁判の勝訴と深いかかわりを持っている。真村裁判の画期的な意義は、裁判所が読売の優越的地位の濫用を認定したことである。 その結果、優越的地位の濫用の典型ともいえる「押し紙」政策に苦しめられてきた店主たちの意識が少しずつ変わり始めた。まず、昨年の10月に大牟田市のYC2店が、弁護団(江上弁護士ら8名)を通じて、「押し紙」の排除に成功した。これら2店では、搬入される朝刊の約4割が「押し紙」だった。 11月にはYC久留米文化センター前店がやはり弁護団のサポートで「押し紙」排除に成功する。この店は約5割が「押し紙」だった。 ここにきて、「読売1000万部」がまったく根拠のないデタラメな数字であることが明らかになったのである。 名誉毀損裁判の引き金になる事件が起こったのは、今年の3月1日だった。 この日、江崎氏ら3人の読売社員がいきなりYC久留米文化センター前店を訪れ、一方的に改廃通告を読み上げた。まるで「押し紙」を断ったことに対する報復のようだった。3人が踵を返すのと、入れかわるようにして、表で待機していた3人の作業員(関連会社の社員)が入ってきて、店舗にあったチラシ類を運びだした。こうしてあっという間に、YC久留米文化センター前店は販売店としての機能を失ったのである。 わたしはこの事件を新聞販売黒書で、次のように伝えた。 読売新聞・西部本社は1日、福岡県久留米市にあるYC久留米文化センター前の平山所長に対して、明日2日から新聞の商取引を中止すると通告した。現地の関係者からの情報によると、1日の午後4時ごろ、西部本社の江崎法務室長、長脇担当、池本担当の3名が事前の連絡なしに同店を訪問し、平山所長に取引の中止を伝えたという。 その上で明日の朝刊に折り込む予定になっていたチラシ類を持ち去った。これは窃盗に該当し、刑事訴訟の対象になる。 読売が名誉毀損にあたると主張している記述は、2段目、「その上で明日の朝刊に折り込む予定になっていたチラシ類を持ち去った。これは窃盗に該当し、刑事訴訟の対象になる」という部分である。チラシを持ちだしたのは、自分たち読売の3社員ではなく、関連会社の社員だというのである。 わたしは訴状を受けて、次のように記事を補正した。 その上で明日の朝刊に折り込む予定になっていたチラシ類を、販売店の表で待機していた関連会社の読売アイエスの社員らが持ち去った。これは窃盗に該当し、刑事訴訟の対象になる可能性がある。 記事を読んでどう感じるかは主観的な問題なので、ひとそれぞれ異なり、当事者が名誉を毀損されたと感じたのであれば、事実を曲げない範囲で補正を検討するのが良心的な対処だ。わたしは江崎氏らをひとつのグループと考えていたので、実質的に改廃を主導した読売の3人が当事者という立場で記事を書いたのである。改廃の本質を浮かびあがらせる上で、江崎氏ら3人とは別にチラシを運びだす作業を行った関連会社の社員を明記することが絶対に必要だとは考えなかった。もともと改廃は、新聞社と販売店の間の問題である。 しかも、わたしはこのような表記上の見解の違いが引きおこすトラブルを未然に防ぐために、記事を掲載した日に、江崎氏に対してEメールで、読売の言い分があれば、全文を掲載する旨を申し入れている。反論の機会を提供していたのである。ところが江崎氏らは、それを無視した。わたしとコンタクトを取ることもなかった。そしていきなり裁判を起こしてきたのである。本当に名誉を傷つけられたと感じているのであれば、緊急に訂正を要求するのが常識だが、連絡もしてこなければ、仮裁判も提起してこなかった。あたかも最初から裁判が念頭にあったようだ。 ■改憲論者の本質を見極める機会 これら2つの裁判は、いずれも裁判そのものが目的ではないかと勘ぐりたくなるほど、起訴までのプロセスが不自然だ。論争の末に、裁判に踏み切ったのではない。本来、メディアの仕事に携わるものは、裁判は最後の手段にして、議論を十分に尽くすのが常識なのだが。 読売がわたしを攻撃してくる背景として、ANYのかけ声の下で始まった販売網の整理・統合の計画を本格的に進めるうえで、新聞販売黒書が障害になっている可能性がある。そこで、まずこのインターネット・メディアをつぶす。その上で一気に販売店の整理・統合を進めようというのではないだろうか。YC久留米文化センター前店で採用したドラスチックな改廃は、今後、読売が予定している改廃のモデルになる可能性もある。 読売関係者が提起してきた2つの裁判の背景に、自分たちと意見が違うメディアは、規模の大小にかかわらず認めないという読売の危険な思想があるような気がする。はからずも特高警察として言論弾圧に奔走した読売の大先輩・正力松太郎氏の亡霊が蘇ったかのようだ。 今後、2つの裁判を通じて、改憲論を打ち出している読売の危険な体質を暴露していきたい。(黒薮哲哉)
タイトル : 言いがかりの研究
衆院山口二区補選結果の分析 自公政権のデリカシーのなさ の記事についたTB、 黒藪哲哉氏と読売新聞法務室長の係争 によると、 (前略) これに対して読売の江崎法務室長は回答書を送付した。この文書が後に著作権をめぐるわたしと江崎氏の係争に発展し...more
タイトル : 「九条の会」結成数が7千突破ー運動への不当な干渉に抗議ー
「九条の会」7千突破運動への不当な干渉に抗議記者会見で発表-------------------------------------------------------------------------------- 憲法九条の改定に反対し、九条を守り生かす活動をすすめている「九条の会」は二十五日、国会内で記者会見し、同会アピールに賛同する地域・職場・分野別などの「会」が七千を突破したことを明らかにしました。会見では運動への不当な規制・干渉に抗議する事務局見解も発表しました。 「会」......more
タイトル : 速記録は見られないけれど、大丈夫?…裁判員が参照できる証..
一つ前の記事「裁判員は証言をどのような記録にして確認するべきでしょうか…裁判記録に関する弁護士アンケート発表」(※1)へのコメントありがとうございました。多くの方が指摘されるとおり、?DVDなど音声や映像をそのまま記録したものと?速記録と両方があった方がよいですよね。 ?は、表情など含め発言内容や状況を正確に振り返るために必要だし、?は、いちいち、全員の議論をとめて毎回DVDなどを見返すよう求めることはプレッシャーなので、簡単かつ正確に発言内容を振り返ることができる資料が手元にあった方がよいです......more
タイトル : 読売側vs押し紙問題追求ジャーナリストの裁判、9/1傍聴
(画像は新聞販売弁護団作成の押し紙問題を告知するパンフレット) 読売新聞西部本社の江崎撤志氏が、新聞業界の押し紙問題を報道しているジャーナリスト・黒薮哲哉氏を権利侵害の差止めを理由に訴えている裁判(読売「催告書」裁判)の第3回口頭弁論が、9月1日、東京地裁で開かれた(清水節裁判長)。傍聴席20席は満席で、傍聴できない者もでた。<平成20年(ワ)4874> この裁判は、かねてより新聞販売店の「押し紙」の問題を報道してきた黒藪氏が、読売新聞西部本社とその管内の販売店との間のトラブルの事実の......more 読売新聞の不買運動を展開すべきだろう。また、チラシ詐欺の対策としては、地域ごとに住民が公共広告破棄で訴訟を起こすこと。 市民 さま チラシ詐欺というのは、押し紙があるから実際には宅配されないのにその分の代金も受け取っている、折込チラシのことですね。 ご指摘のように自治体の広報誌が、実際には配られていないという問題もあります。 ただ、読売新聞に限ったことではありませんね。 読売新聞販売局は総入れ替えが必要。 元販売店主 さま
お返事遅れました。ブログを拝読しました。
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