機関紙ジャーナリスト09年3月号から「沖縄リポート」を掲載します。
泡瀬干潟 埋立予算の凍結も期待
沖縄県議会が健闘している。
昨年6月の選挙で与野党逆転を果たした県議会(与党22、野党26議席)が、翌7月には早速、辺野古への新基地建設に反対する決議を行ったことは既に報告したが、以来、これまで県民が声をあげても無視され、なかなか動かなかった問題が県議会で取り上げられるようになり、少しずつ山が動き始めている。
議会と県民・市民との距離もぐっと近くなった。沖縄防衛局が米軍ヘリパッド建設に反対する高江住民を訴えた仮処分の第一回審尋を前にした1月20日、県庁前で行われた「住民弾圧を許さない県民集会」にも、2月20日に同所で開かれた「グアム移転協定」の撤回を求める「米国は沖縄の声を聞け!緊急県民集会」にも野党県議団が勢揃いした。2月20日の集会後には、県議団代表が市民らのシュプレヒコールに後押しされながら、県知事への表敬訪問に訪れたスケルトン米下院軍事委員長に新基地反対決議を突きつけた。
今議会で大きな注目を集めているのが林道問題だ。沖縄の日本復帰以降、基地の見返りの高率補助金を使って、世界自然遺産の候補地である貴重なやんばるの森林をズタズタに引き裂き、網の目のように林道が造られてきた。それをなんとか止めようと、これまで多くの県民や環境NGOが反対の声をあげ、裁判にも訴えてきたが、何の歯止めにもならなかった。
しかし今回、新たに計画されている2路線の林道予算に野党が一致して反対することがほぼ確実となり、環境NGOの長年の努力がようやく日の目を見ようとしている。NGOとの勉強会や現場視察など、自ら積極的に行って見識を蓄えた議員たちは、県当局の机上の空論を論破し、たじたじにさせている。私も県議の皆さんと何度か現場に同行したが、その熱心さを心強く感じた。
昨年11月、経済的合理性がないとして司法が差し止め判決を下したにもかかわらず、今年初めから埋め立てが強行されている沖縄市泡瀬干潟の埋立事業についても、県議会での予算凍結が期待されている。
この勢いで、来年秋の県知事選挙ではぜひとも、県民の意思を体現する知事を誕生させたい。
(浦島悦子)