機関紙ジャーナリスト09年4月号から転載します。
大野晃のスポーツコラム
国際性欠く招致予測
2016年五輪の開催を目指す東京都への国際オリンピック委員会(IOC)評価委員会の現地視察が終わった。
IOC委員の選定の基礎となる報告書にどう記載されるか注目されるが、東京招致応援のマスメディアは早くもIOC委員の票読みにかまびすしかった。
しかし、国際スポーツ界の変化には鈍感で、選定される10月IOC総会の特徴を無視するなど、根拠に乏しい身びいき予測が多かったのは、日本オリンピック委員会同様の国際性のなさだった。
12年ロンドン五輪の決定でカギを握ったのは単なる開催の政府保証ではなかった。
IOC内で勢力を伸ばし、その意向が重みを増したアフリカ、アジア、ラテンアメリカの途上国への支援強化を含む政府保証だった。
昨年の北京五輪でも途上国の躍進ぶりは顕著で、中国の支援が影響していた。
途上国の政府関係者であるIOC委員が増大し、今や欧米中心から途上国の動向が大きな意味を持つIOCへと変わった。
しかも10月総会直後には、15年ぶりのオリンピック・コングレス(全体会議)が開かれ、議題には「五輪の普遍性と途上国」が提起されている。
途上国とともに五輪をどう発展させるかがテーマの総会・全体会議となりそうだ。
世界的不況下だけに、途上国支援の具体的な提案のない五輪開催は見向きもされないだろう。
にもかかわらず東京招致には途上国への提案が皆無に等しい。
アジアのIOC委員が強力に応援してくれない限り、現実的な引っかかりがない。
オバマ大統領がアフリカを中心にした途上国支援に積極的な米国やアフリカ支援が大きな課題のスペインとは大違いである。
途上国代表ブラジルへの期待感も根強い。
全体会議とドッキングした五輪開催地選定には理想論や現実的要求がうずまく。
それが読めずに、1981年総会で名古屋招致は韓国・ソウルに惨敗した。
身びいきに先走りした日本のマスメディアすべてが、痛い体験を忘れてはなるまい。
FSJ通信
FSJ通信「リオ五輪決定――多極化する世界映し出す