「ジャーナリスト」2010年4月号から転載します。
普天間基地は即時撤去を
マスコミ九条の会が緊急シンポ
安保は「抑止力」にならない
3月20日、マスコミ九条の会シンポジウム「普天間問題のウラに隠された真実が」日本記者クラブで行われた。
吉田健正氏(国際問題ジャーナリスト、沖縄在住)、前田哲男氏(軍事評論家)、鳥越俊太郎氏(ジャーナリスト)、コーディネーター桂敬一氏(マスコミ九条の会呼びかけ人)が報告と討論を行った。
吉田氏は沖縄普天間基地にいる海兵隊のほとんどがアメリカ自身の軍再編計画でグアムに行くことを米軍の資料で示し、メディアはなぜこの事実を伝えないのだろうと結んだ。
前田哲男氏は基地問題の背景にある日米安保条約に言及し、その歴史とともに密約に示される「ウラ安保」と、それによって徹底した対米隷属を強いられる日本の実態を示し、密約の廃棄を米政府に通告すべきと語った。
鳥越氏は自らの取材の経験にふれ、1990年代初頭ソ連シベリアのICBM(大陸間弾道弾)基地を取材した際、長距離ミサイルは30分でワシントンなどに届くと説明を受け、中距離ミサイルの標的はどこかと問うたところ、あいては黙って地図上の沖縄を指さしたと語った。また、鳩山首相への取材で、なぜ普天間の移設先が必要かを問うと「抑止力」との答が返ってきたと述べた。
米軍が沖縄からグアムに移転することを決めているもとで内閣の存亡をかけて県内、国内で移設先を捜す鳩山内閣。
核密約、沖縄密約、日米地位協定密約など「オモテ安保」を180度転換させ「ウラ安保」を認め続け、核持込、米軍司法権放棄を容認する鳩山民主党政権。
「抑止力」の名のもとに米軍基地の存続を積極的に求め、沖縄をはじめとする米軍基地を“標的”とさせ続ける鳩山民主党政権。
はたしてこれが憲法の平和的生存権を遵守する政府だろうか。そして、この政府に「日米同盟を何よりも大切に」と迫る主要メディアは国民の知る権利を保障しているのだろうか。
普天間問題、密約問題を契機に、国民にとって安保条約とは何かを考え出すチャンスとなれば……。
三枝和仁(マスコミ九条の会)