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「ジャーナリスト」2010年4月号から転載します。
貧困が戦争と軍隊支える 米海兵隊を取材して見えたもの アメリカのテレビではスポーツ中継の合間に、海兵隊の募集CMが放映されるという。騎士がドラゴンを倒すアニメなど少年向きのCMがターゲットとするのは貧しい若者。『アメリカばんざい』で戦争をし続ける国アメリカの内側を描いた藤本幸久監督は、日本の進路を考えるにはアメリカの真実を知ることが不可欠だと強調する。 ――アメリカの実像に驚きました。 アメリカ取材の動機は沖縄にあります。前作の『マリーンズ・ゴーホーム』は基地や演習場に反対する人を描いた作品です。韓国の梅香里(メヒャンニ)、矢臼別、辺野古を取材しました。 しかし抵抗する人々を描くだけでは見えてこないものがある。辺野古にあるキャンプ・シュワブには3千人の海兵隊歩兵部隊がいる。そこで 見かけるのは普通のアメリカの若者です。辺野古を撮影しながらフェンスの内側を描かなければと思いました。 ベトナムからイラク・アフガンまでアメリカはずっと海外で戦争をしてきた。戦争を知っているのは兵士だけです。その取材をするにはアメリカに行くしかない。 若い兵士たちは、どういう人たちでどういう教育を受けたのか。それを撮ったのが『ワンショット・ワンキル』という映画です。 入隊者は3カ月で人を殺すように訓練されます。人間は人を殺せないというのが軍隊の出発点です。繰り返し「考えずに従え」と訓練し、兵士の精神を作る。そして反射的に人を殺せるようにする。弾がなければ銃剣で刺し殺す。 その訓練を終え海兵隊員は沖縄に来ている。しかし彼らはまだ実際に人を殺していない。戦場へ行く前と後では明らかに違います。 敵を殺すつもりで非戦闘員を殺害した場合など、兵士は人を殺したことに気づき、さいなまれます。それを18・19才で経験した若者が、その後どんな人生を送るのかすぐにはわからない。ベトナム戦争からアフガンまで、それぞれの時代に若者だった人を訪ねたのが『アメリカ 戦争をする国の人々』です。 8つのエピソードに分かれる全部で8時間の長い作品になりました。 一方、戦場へ行くのを拒否した人もいます。彼らは貧乏している。軍から何の特典も得られず、拒否が履歴に載るので社会的に不利益を受け、貧乏している。しかし自らをラッキーだという。人を殺さなかったし、心の病にもかかっていない。 ――貧困などアメリカの矛盾が戦争を養っていますね。 戦争と軍隊を支えるのは貧困です。イラクとアフガンにアメリカは20万人を送っている。そのためには毎年15~16万人の若者を兵士に育てなければならない。 軍の募集は貧困層をターゲットにしています。安定した収入の職業に就くには大学卒の学歴が必要です。しかし大学の学費は高い。コロンビア、ハーバードの学費は年間5万ドル(500万円)、4年間では2千万円。UCLAで年間2万ドルです。安いと言われるNY市立大学でも5千ドルはかかる。 人口の2割を占めるアメリカの貧困層は進学できない。 軍は貧困層や移民の子で人生を切り拓こうという意欲のある若者をリクルートする。リクルートの費用だけで4千億円使っていると言われます。 だからアメリカにいっても戦争の影などみあたりません。戦争の影があるのは貧困層です。 帰還兵は勝手にしろと放り出されます。戦費に膨大な金がかかるので、帰還兵の面倒までみられない。イラク・アフガン戦争では5千人が死亡、数万人が障害を負い、30万人が心を病んで母国に戻った。しかし殆ど軍隊からのケアがなく放りだされる。そこで兵士たちはホームレスになる。アメリカの350万人のホームレスの3人に1人は元兵士だと言われています。 一番多いのはベトナム帰還兵です。もう60から70歳になる彼らは森の中や路上で生活している。そこへイラクやアフガンに行った若者が加わっているのです。 それでもアメリカ政府は次の戦争も準備をしている。それを同盟国にやらせるのが米軍再編の大きな狙いです。 日本の金で基地を作り、一緒に戦争をする。そういうアメリカの現実を知らないと、日本人は騙されます。 ――取材はどのように? 人びとの取材は「マリーンズ・ゴーホーム」の短い版を作ってアメリカ各地で上映会をし、帰還兵や家族を紹介してほしいと訴えました。 海兵隊訓練キャンプの取材は国防総省から許可を取りました。海外メディアで初めてでした。 兵士一人ひとりに肖像権はないので、許可さえとればその点では自由です。高校でリクルートに反対する授業の映像などは、親の許可を取らないと生徒を画面には出せません。 国防総省には、海兵隊がどのように教育・訓練しているか日本人に知らせる意義を強調して許可をとりました。米軍にも自分たちがよく思われていないという認識はあります。熱心に教育していることを知ってほしがっています。 ――ベトナム戦争の頃は日本のメディアも取材をしていましたが。 アメリカはベトナム戦争の教訓から取材を制限しています。多くのジャーナリストはそれにのって取材するだけです。だからイラク戦争の時、ファルージャで何が起こったか伝えられなかった。戦闘後、遺体を大量に埋葬した痕や生存者の証言で少しずつ明らかになった。米兵士の証言をとったのも、それしかアメリカの戦争を知るすべがないからです。 ただ米軍が報道制限するのは、それだけ以前より戦争で人が人を殺すことへの忌避感情が高まっているからでしょう。その意味では世界の人の意識レベルは上がっていると思う。 ――日本の報道については? これまで大手マスコミの沖縄支局の記者が、辺野古の基地建設問題の原稿を送っても載らなかった。鳩山内閣の政局問題として「普天間移設」が材料にされたら、連日報道されます。おかしいですね。 自衛隊が米軍と共同の軍事行動をするとは、人を殺す血生臭い軍隊になるということです。 公開された二つのドキュメンタリーは日米軍事再編を考えるときの基礎的なテキストをと思って制作しました。とくにジャーナリストに見て欲しいと思います。 聞き手 保坂義久 写真 吉田博二 上映予定 東京・アップリンク5月14日(金)まで公開中「ONE SHOT ONE KILL-兵士になるということ」 名古屋シネマテーク 5月8日(土)~28日(金)「ONE SHOT ONE KILL-兵士になるということ」 5月29日(土)~6月4日(金)「アメリカ-戦争する国の人びと」 大阪・第七藝術劇場 5月29日(土)よりロードショー 「ONE SHOT ONE KILL-兵士になるということ」 プロフィール 藤本幸久(ふじもと ゆきひさ) 1954年生まれ。土本典昭監督の助監督を経て、92年『教えられなかった戦争─侵略・マレー半島』を初監督。作品に『闇を掘る』(01年・ハンガリーの国際映画祭準グランプリ) 「Marines Go Home-辺野古・梅香里・矢臼別」(05年)『アメリカばんざい crazy as usual』(08年)ほか。
by ywatari4
| 2010-05-19 11:22
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