機関紙「ジャーナリスト」2011年9月号から転載します。
多人種融和の代表ラガーが激突
大野 晃
ラグビーのワールドカップ(W杯)取材のためニュージーランド(NZ)を旅している。
地元マスメディアは代表チーム・オールブラックスの動向を多角的に伝え、一次リーグの対戦相手として日本代表も紹介していた。
しかし、やはりNZ出身で24年前の1987年第1回W杯地元優勝の立役者だったカーワン・ヘッドコーチの話題が中心で、選手では初戦の対フランス戦で活躍したNZ出身のアレジ選手に注目していた。
NZでは近年、女性の競技参加が増えラグビーを国技と誇るだけに、子供から女性まで、さまざまなレベルでのチームつくりや指導が地域のクラブを軸に盛んに行われているようだ。代表は子供の時からきちんと指導されて成長したプロである。主力にサモア出身者がいるのも特徴で早くからNZのクラブで育った。
オークランド市の街を歩けば、腕っぷしの強そうなおじさんや肝っ玉母さんのようなご婦人が少なくない白人たちと先住民マオリやサモア、トンガなどポリネシア系の人々、それにインド、中国、韓国出身者が混在していて多人種社会を実感させる。ファンたちは人種の違いに頓着しない。代表する地域のプレーの特色や勇気、敢闘精神に興味をつのらせる。
地元マスメディアは日本代表をブレイブ・チェリー・ブロッサムズ(勇敢な桜たち)と称してくれた。NZ出身者が7人も代表に加わったのだから、一層、親近感を持っているのかもしれない。
オールブラックスの主力3人が大会後、日本のトップリーグチームの一員として登場する。実際はほとんどが大会後の日本デビューになるが、このW杯に出場した日本以外の6カ国・地域代表の計11人が日本チーム所属である。
今シーズンのトップリーグの外国出身者は日本国籍を持つ者も含め116人に及ぶ。その活躍を違和感なく声援できるか。新しい国際化の波が押し寄せる日本社会の課題を想起させる。
(オークランドで スポーツジャーナリスト)