6月号から、ニューマンライツ・ナウの伊藤和子さんのインタビューを一部紹介します。
海外の人権を考えることが日本の人権問題につながる?
そう思いますね。例えば皆、ユニセフ募金は進んでやったりしますね。でも、ユニセフに募金するというのは、ただ物をあげる、飢えた子の命を救うだけでなく、子どもの人権を守ることです。学校に行ける、きれいな水を飲めるという権利を実現することなのです。
遠くにいる人のことは見やすい。身近なホームレスのことは関心がなくてもアフリカの貧困は心配する、ということが実際にありえます。それをどう足元の出来事に置き換えるか。
メディアでも人権と言う言葉が狭く使われている。ユニセフがやっている活動も人権の擁護だし、もっと広い人権がある。
メディアには豊かに人権を語っていただきたいですね。
私は戦争も人権問題だと思います。戦争は平和なときにはありえない人権侵害を生みます。人が殺され、膨大な数の女性が暴力にさらされる。
日本にいて抽象的に語れば、戦争は戦略の問題になりますが、実際に空爆の下にいる人に聞けば、彼らの人権が損なわれている話なのです。
戦争があれば人権が損なわれるし、人権侵害は次の紛争を生み出す。
人権問題に取り組むことで紛争予防をしていきたいと考えています。目の前にある課題は膨大ですけれど、世界のNGOとネットワークをつくって市民の力で世界の未来を変える役割を少しずつでも果たして行きたい。