「ジャーナリスト」8月号書評面から。
『死活ライン 美しい国の現実』 平舘英明
(金曜日 1100円)
「小さな政府」に奪われる生存権
弱者の貧困化を事実に即し告発 三枝和仁(広告支部)
怖い本である。「第一章『ワーキング・プア』の現実」。「第二章小さな政府 大きな格差」の構成で貧困の現実を実に丁寧に足で書いている。
ワーキング・プアの章では、ネットカフェ難民で知られた日雇い派遣、公共サービスでの派遣、外国人研修生、中小業者などの生活保護以下の賃金実態が読みすすむのが辛くなるほど生々しく伝えられている。
小さな政府の章では、「官から民へ」で実施されている郵政民営化による住民サービスの低下と過労死も生れている職場の実態を追っている。また、教育、医療費助成の廃止、生活保護の老齢加算の廃止、一人親加算の廃止、国保証取上げ、障害者自立支援法など社会保障改悪政策での被害を追っている。
超低賃金・不安定雇用による貧困の広がりと福祉切り崩しによる社会的弱者の更なる貧困化。これらを十指にあまる事実で告発している。
筆者は貧困の原因を「自己責任」と切捨てる風潮には当然批判的だ。あいつぐ労働法制の改悪で日雇い派遣まで合法化させてしまったことや自立支援の名目で障害者や生活保護などの福祉切捨て、高い国保料を設定し払えない人からは国保証を取上げる行政姿勢。これら国の政策こそが貧困拡大の原因であることを指摘する。そして人々が安心して暮せる社会を作るための「うねり」の必要も。
7月29日の参議院選挙の結果は規制緩和で限りなく貧困を拡げている小泉・安倍と続く自・公政治に国民が反撃をはじめた第一歩なのだろう。