「日本複合カフェ協会」が、“ネットカフェ難民”という言葉の使用を控えるようメッセージを出したといいます。(8月29日) JCJではこの言葉を造ったといえるTVディレクターの話を聞く会を5月に開きました。テレビ制作者の問題意識の一端がうかがえると思いますので、「ジャーナリスト」6月号掲載の記事を2回に分けて分載します。
第2回JCJミニシンポ
かつての山谷、どこにでも
「ネットカフェ難民」の実情語る
JCJミニシンポジウムの第2回が5月25日、岩波セミナールームで開かれた。参加者は81名。
『「NNNドキュメント ネットカフェ難民~漂流する貧困者たち」を見て、語る会』と題した今回の講師は日本テレビ同番組ディレクターで「ネットカフェ難民」を造語した水島宏明さん。
ネットカフェを寝床にするホームレスの若者が抱える問題について、水島さんの経歴を交えながら話を聞いた。
番組は今年1月に日本テレビで放送され、視聴率は深夜帯では異例の5%(関東)を記録した。
労働者の3人に1人が非正規雇用化した環境が、様々な要因と結びつきながら若者の住む場所を奪う実態が描かれる。
制作した水島さんは元札幌テレビ記者で、87年に起きた札幌母親餓死事件のドキュメンタリーが反響を呼んだ。貧困問題をライフワークに、生活保護をはじめ社会保障政策の不備を告発する。社内では「貧困オタク」の異名があるそうだ。
水島さんによれば「ネットカフェ難民」化している若者の多くは低賃金と厳しい雇用環境で働く低学歴者で、中には有名大学出身者もいるという。毎日のように携帯とパソコンで仕事を探す。日雇いの派遣労働というケースが大半だ。「かつての山谷がどこにでもある。日本中が寄せ場化している」と水島さん。
90年代から本格化した派遣労働への規制緩和の影響は大きい。派遣可能な業種を法改正で次々と拡大して、正規雇用から非正規雇用の置き換えを加速した。
だがマスコミは、法改正の危険性をしっかりと指摘してこなかった。特にテレビでは「汚い」「画にならない」「難しい」問題を避ける制作者側の意識があった。近年強まる総務省の介入が「是非を問う報道」「戦う報道」を難しくしている。水島さん自身も、昨年に製作した生活保護をめぐるドキュメンタリーで介入を受けたという。