東アジアの未来に重要
マスコミ関連九条の会連絡会
「慰安婦」で林博史教授が講演
11月10日、関東学院大学の林博史教授による講演「なぜいま日本軍『慰安婦』問題なのか」がマスコミ関連九条の会連絡会主催で行われた。雨模様の中、会場の東京堂書店会議室がほぼ埋まる52名が参加し、テーマへの関心の強さが示された。
林氏は安倍前首相の「官憲が家に押し入って人さらいのごとく連れて行くという強制制はなかった」との発言を紹介し、強制否定の論理は「家に押し入って」「人さらいのごとく」など極めて限定的な状況を示し、それがなかったのだからすべてなかったと言い張る詭弁を使っていると指摘し、だまして連行するのも戦前から犯罪とされていた事実を指摘した。なお、この詭弁は沖縄「集団自決」でも使われている。
6月14日に自民・民主の政治家などの連名でワシントンポストに掲載された意見広告の内容に即し、「当時、公娼性は世界中で普通」などのウソを事実を対置して報告。それと共に、戦争時には売春の強制があって当たり前と考える日本の政治家が今もいることを具体名を出して批判した。
なぜいま日本軍慰安婦問題が問われるかは、戦時性暴力が今も繰り返され、それは日本軍「慰安婦」の不処罰が背景にあり、日本政府の反省と戦争犯罪としての処罰が求められている。しかし、日本政府の従軍慰安婦問題無反省には「東京裁判での追求の不十分さ」と「冷戦下で、戦前の支配者が戦後も継続」があると指摘した。
さらに、いま東アジアの国々では20世紀全体の総括と清算が進められており、日本が侵略戦争を自己批判し、従軍慰安婦など戦争犯罪を反省・謝罪することが東アジアの未来にとって重要な意味を持つことの理解が必要と指摘した。
過去の歴史を曲げ、日本の戦争は正しかったと主張する右派に対抗するだけでなく、東アジアの冷戦構造の本格的な解体に日本が取組むには、いま従軍慰安婦問題を真に解決する必要がある。それが米下院決議の意味と締めくくった。
なお、オランダ下院でもアメリカに続き慰安婦問題で日本政府は謝罪をとの決議を11月7日全会一致で採択した。(広告支部 三枝和仁)