機関紙ジャーナリスト08年2月号からスポーツコラムを再録します。
FSJ通信にも掲載されています。
高校生プロへの責任
大野晃
昨年5月の男子ゴルフ国内ツアーで史上最年少優勝記録を作った東京・杉並学院高1年の石川遼さんが、新年早々にプロ転向を表明した。
2009年シーズンまでの出場資格を得たためで、16歳3カ月でのツアープロ転向は、もちろん国内最年少。
今後はツアーに出場しながら高校にも通うという。
しかし、厳しいツアー日程と勉学の両立は極めてむずかしく、体力や技術の成長期にあって、素質を十分に開花できるか危ぶむ声もゴルフ関係者からあがっている。
最年少優勝で多くのスポーツ・マスメディアから「ハニカミ王子」なる安っぽいニックネームを与えられトップ競技者のような騒がれ方をした石川さんは、スター扱いの密着取材などが続いて高校生活もままならず、早くもプロ転向でCM解禁となって数億円の商品価値と持ち上げられた。
マスメディアが騒々しい中で果たして石川さんは、冷静な判断ができたのか。
自らを見失わないことを願うばかりだ。
マスメディアが、有望な少年少女競技者を芸能タレント扱いし、CM商品価値を狙った商業主義利用で迷い道に誘い込んだ例は枚挙にいとまがないほどなのだ。
少年少女競技者のフレッシュな挑戦はスポーツファンに希望と勇気を与えるが、だからといって身勝手に利用することは人間性を否定した犯罪的行為である。
娯楽提供のスポーツだから、相手がプロならどう扱おうが勝手という暴論がマスメディアにまかり通ってはいまいか。
基本的人権であるスポーツ行動を個人趣味に閉じ込め、特殊視する反民主主義的性格を示すものだ。
マスメディアが国民とともに歩むことを意識するなら、少年少女競技者が生き生きと成長できる環境と条件を作り出すために最大限の努力をはらうのが当然だ。
石川さんが大きく羽ばたけるかどうかにスポーツ・マスメディアは重い責任を負っていることを自覚しなければなるまい。
追記
JCJミニシンポ《もっと知りたい・そこが知りたい》第6回
いったいスポーツはどうなっちゃったの?
日時 2月8日(金) 19:00~21:00
場所 JCJ事務所(地下鉄「神保町駅」5番出口から徒歩7分)
講師 大野 晃 氏
参加費 800円
主催 日本ジャーナリスト会議(JCJ)
電話:03-3291-6475 FAX:03-3291-6478