「ジャーナリスト」08年5月号から、9条世界会議の記事を分載します
世界を動かした9条
「9条世界会議」分科会
「守る」から「使う」へ
市民が代わればメディアも
“熱気・希望・勇気”が千葉幕張メッセ「9条世界会議」会場に漲った。初日の溢れ返った熱気を受けて、5日午後、国際自主企画・シンポジウム「憲法九条とメディア」(韓国記者協会・日本ジャーナリスト会議・マスコミ関連九条の会連絡会主催)を行った。
開場前から長蛇の列、満席160人の会場の床・通路・壁際に詰め込み、200人を超える文字通り「満員札止め」となった。
世界の憲法になるべき9条
パネリストは、日本駐在経験もある韓国記者協会元会長・李成春氏、ジャーナリズム研究の第一人者・元東大教授の桂敬一氏、中南米はじめ海外取材経験豊かな朝日新聞記者・伊藤千尋氏、そしてコーディネーターは、平和・市民運動家でもある作家の小中陽太郎という布陣。
冒頭、主催者でもある韓国記者協会キム・キュンホ
会長が「昨日、全体集会に参加し、いま世界にとって平和と憲法9条の重要性がますます増していると感じた。この後、私たちは北朝鮮を訪問、両国記者同士が話し合うが、今回の経験を活かし、半島における武力対立を解消する意思を確認、皆さんの熱い思いも伝えたい」と挨拶した。
報告と討論に移り、李氏は「現憲法と明治憲法の大きな違いは、国民主権・平和・人権―GHQより前に中江兆民、吉野作造、矢内原忠雄たち先人の精神が流れこんだもの。『9条は日本だけのものではなく、世界の憲法になるべきだ』と確信した。日本政府は過去の植民地支配を反省、謝罪しながら改憲策動するからアジア各国から信頼されない。一部のマスコミもこれに近い」と矛盾を指摘した。韓国記者協会は、60年代~70年代、独裁政権の弾圧に抗して「言論の自由」を闘い取る課程で結成された。それだけに日本のマスコミに対する指摘は重く鋭い。
(続く)