「ジャーナリスト」5月号 世界を動かした9条 「9条世界会議」分科会 の続きです。
読者の反応で新聞も変わる
桂氏は、世界史の大きな流れの中に九条を位置づけ、国連憲章の先を行く第二項「戦力の不保持」こそ国際的な指針を示したものだ、と指摘。様々な反動、形骸化にも拘わらず、日本の世論は改憲推進の読売世論調査でさえ「護憲が15年ぶり逆転、9条に至っては60%超が変えるべきでない」となった。ぐらついていた朝日も今年は、護憲をはっきり出し、「憲法は現実を改革し、住みよい社会を作る手段」と位置づけた。貧困・格差・後期高齢者医療…読者が怒れば朝日も変わる。しかし、油断は禁物、とくにテレビは楽観できない、と。
憲法は市民が普段使うもの
伊藤氏は“海外から見た九条”について「地球の裏側、北アフリカのカナリア諸島にスペイン語の『9条の碑』『ヒロシマ・ナガサキ広場』がある。地元の市長が『平和を考える場に』と提案、議会も満場一致で設置を決めた。世界共通のシンボルなのだ。翻って日本人は9条を広げる努力をしてきたか?世界で2番目の戦力不保持の憲法を持つコスタリカは、隣国の内戦中止の仲介をし、アリアス大統領は87年にノーベル平和賞を受賞した。ベネズエラでは、露天の本屋で憲法を売っており、普通の市民がそれを買っている。「なぜ?」と聞くと「憲法を知らないで、どう生きるの?権力と闘えるの?」と反問された。憲法は、市民が普段の生活で使うものなのだ。そういう市民がいて、チャべス大統領が誕生したのだ、と。
小中氏は「NHKは番組内容やトップ人事で政治介入を受け、自律性が脅かされている。しかし、私たち市民もネットなどを駆使し、連携することで、メディア状況を変えつつある。改憲派だった静岡新聞も論憲に変わった。行政、メディア任せにせず、自ら主体的に関わり、お互いに繋がることで、メディアや社会を変えていこう」と結んだ。
初の「9条世界会議」に関わり、市民のメディア、ジャーナリズムに対する期待と思いが私たちの想像よりはるかに強く大きいことを肌で感じた。まさに「9条が市民の心、メディア、世界を動かした」のだ。 (阿部 裕)