「ジャーナリスト」08年6月号1面は「女性国際戦犯法廷」の番組改変、最高裁判決についての記事です。
政治の圧力・介入を無視
期待権の一般論に終始
NHKは事実の重みから逃げる
6月12日、最高裁はバウネット・ジャパン(VJ)が国際女性戦犯法廷を取り上げた番組についてNHK他を訴えていた裁判で、損害賠償責任をみとめた2審の東京高裁判決(07年1月29日)をくつがえした。
この「NHK裁判」はNHK幹部が政治家に会った後、放送直前に番組が改変された事実が、担当プロデューサーやデスクの証言で明らかになっている。最高裁判決は高裁判決が認定した事実ではなく、原告のVJが主張した期待権と信頼利益
の侵害について、法的保護の対象とならないと判断した。
判決をうけ12日、午後7時から明治大学で報告集会が開かれた。
東海林路得子VJ共同代表は、NHK職員の内部告発などメディア内部の力で多くの事実が明らかになった、と裁判の意義を語った。
同じくVJ共同代表の西野瑠美子氏は、番組改ざんの事実の重みからNHKは逃げ続けていると批判した。
緑川由香弁護士は、「取材対象者に格段の負担が生じる場合に限ると2審に比べ期待権のハードルを高くした」と判決のポイントを説明するとともに、私たちは一般論で主張したわけではないと、あくまでこのケースでNHKの不当行為を立証したと、期待権や説明義務をメディアに求めることへの危惧に対し答えた。
飯田正剛弁護士は、最高裁は裁判所の役割を放棄し、事実を無視し一般論に逃げ込んだと批判した。
日隅一雄弁護士は、10日に出されたBRCの決定について説明した。
2審の高裁判決について同日のNHKの9時のニュース(「ニュースウォッチ9」)は、判決内容の説明のあとにNHKの見解のみを伝え、高裁判決が「政治家が介入したとは認められない」と伝えたあと、当時の安倍首相、中川政調会長のコメントを放送した。BRCの決定はその放送を公平性にかけると判断した。
日隅氏はパソコンで最高裁判決を伝えるNHKニュースが、バウネット側のコメントを伝えていることをリアルタイムで確認し、「BRCの決定が出たので今回はNHKの報道も公平なようだ」とした。
続いて松田浩氏(元立命館大学教授)が特別発言。松田氏はNHK予算が国会提出に先立ち、自民党内で協議される実質的な放送法違反慣行を批判した。
この「NHK裁判」はNHKの体質をはじめ様々なメディアの問題を浮き彫りにしてきた。それらの問題はまだ終わっていない。