機関紙『ジャーナリスト』08年9月号から書評。
食大乱の時代―“貧しさ”の連鎖の中の食 大野和興 西沢江美子
(七つ森書館1800円)
農と食と貧困をつなぐ負の構造
襲いかかる新自由主義との闘い
世界の穀物が高騰し産出国からは輸出規制が相次ぐ。日本の食品も相次いで値上がり、家計の悲鳴が伝えられる。
が、日本では主要穀物のコメの値下がりが著しく、生産農家では出荷すればするほど赤字を生み出す構造となっている。
安ければよいという消費者の欲望を巡って、材料も人件費も削りに削って作らせた農薬入り中国餃子は、果たして中国の問題か?
大資本に土地を奪われ、自分たちの食べるものを作れなくなったアジアの農民と、大企業のグローバリズムを背景に食うに食えない非正規社員を生み出した日本の貧困問題とは、次元の違う話か?
新自由主義によるグローバリズムが、都市も農村も関係なく、一人ひとりを無防備の裸の状態で襲っているその姿が、はっきりと描かれる。もはやグローバリズムは論じている場合じゃない。どう闘うかだ。いかに世界の人々と連帯するかが、喫緊の課題であることを描き出す本書は、今必読の書である。
特に、未だWTOのもとで自由化を推し進めるべきだと主張し、その一方で、もはや金で食料が買えなくなる日が来るかもしれないなどと、ちらりと報道する大マスコミのジャーナリストたちには、ぜひ、本書を熟読してほしい。
「オニギリが食いたーい」と餓死する人々を抱えて、未だに豊かな国幻想で、貧困者を切り捨てているのは、財界と政治家ばかりではあるまい。
農と食と貧困をつなぐ連鎖を見出せば、課題はより鮮明となる。現象面だけでなく、その根本からの告発を受け止めたい。
伊藤洋子(東海大学教授)